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チタンのうんちくコーナー~その8~

チタン合金の分類(α合金・β合金・α-β合金とは)

チタンの結晶構造は室温では、最密立法晶(α相)ですが、885℃で同素変態をして、それ以上の温度では体心立方晶(β相)に 変わります。純チタンの場合は、室温での結晶構造は最密立法晶(α相)なのでα相の性質が即室温での純チタンの性質ということになります。チタンを合金に した場合は、加える合金元素の種類によって変態する温度が変化したり、変態する温度に幅を生じてα+β二層領域が出現したりします。ですので、チタン合金 は以下のように大別されます。

チタン合金の分類
室温でα相が単独に存在する「α合金」、
β相が安定に存在する温度領域から急冷すると、純安定的にβ単層となる「β合金」
室温でα相とβ相の両方が共存する「α-β合金」

しかし、同じチタン合金でも合金の特徴はかなり違います!!この「α合金」「β合金」「α-β合金」3種類のチタン合金の特徴をまとめると以下のようになります。

〜 α合金 〜
  1. アルミニウムを添加した場合は、α相の領域が拡大するとともに固溶強化のため室温強度が上昇する。ただし、アルミニウムの添加量は7質量パーセントが限界である。
  2. 一般的な機械的性質の特徴は高温強度が大きく、高温クリープ特性に優れていること。また、極低温でのじん性(ねばり強さ)もβおよび、α-β合金よりも優れている。
  3. 室温で圧延した合金板では、最密立方晶であることが原因で、圧延方向に集合結晶(結晶の方向がそろう事)ができ、著しく強化される。
  4. ヤング率はβ合金よりもずっと大きい!
  5. 高温からの冷却速度が合金の性能にあまり影響を与えないので溶接作業が容易である。
  6. 熱間加工に大きな力を要し加工は容易ではない。冷間での加工性もすこぶる悪い!
  7. 相変態がないので、熱処理によって機械的性質を変化させることができない。
〜 β合金 〜
  1. 熱処理によってチタン合金中、最も高い強度を得る事ができる。
  2. 高強度にかかわらず、溶体化処理を施した状態(強化熱処理の前)では加工性に優れている。
  3. 特にTi-Mo系のチタン合金は純チタンよりも非酸化性環境での耐食性に優れている。
  4. 熱処理(析出硬化)によって強度を得ているので、高温までその強度を維持することができない。
  5. ヤング率が低い。
〜 α-β合金 〜
  1. 熱処理性に優れているので、中位の強度から高い強度まで、比較的容易に、広い範囲の強度を選定することができる。
  2. 強度、延性、じん性を適当に組み合わせた合金の製造が可能である。
  3. 共析変態(固体の状態で一つの相が2つの相に分かれること)が活性でない場合は熱的な安定性がよく、耐熱性が優れている。
  4. α相の体積の占める割合が大きくなると、加工(塑性加工)が困難になる。
  5. β相安定元素の添加量が少なく、したがってβ相の体積の占める割合が小さい場合を除いて溶接性がよくない。

以上のように、

それぞれのグループのチタン合金が示す長所と短所は、同じチタン合金でもずいぶん違います。

さらに、同じグループに属する合金でも、個々の金属においては、一般的な特徴は同じでも細部の性質が異なることも多々あります。ですので機械部品に応用する場合は、純チタン、またチタン合金のそれぞれの特徴をよく知っておく必要があります。

 

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