チタン素材のスウェージング加工とは
スウェージング加工とは、金属素材に対して回転するダイスで繰り返し打撃を加えながら、径方向に圧縮して減径する塑性加工技術です。切削加工のように材料を削り取るのではなく
、素材そのものを塑性変形させるため、金属組織の繊維流れ(ファイバーフロー)が途切れ
ず、加工後も高い強度を維持できる点が大きな特長です。
特にチタンは比強度(密度あたりの強度)が非常に高い素材として知られており、密度は約4.5g/cm³と鉄鋼材料の約60%程度でありながら、優れた引張強度を備えています。このチタン素材にスウェージング加工を施すことで、軽量かつ高強度な細径部品を効率的に成形することが可能になります。

太径から細径への一体成型によるチタン精密加工
本事例では、チタン素材を用いて太部1.6Φから細部0.3Φへとスウェージング加工により減径しています。太い線径から段階的に細く絞り込むことで、太い部分と細い部分を一体成型できる点がこの工法の大きなメリットです。
溶接やろう付けといった接合工程が不要となるため、接合部の強度低下や品質ばらつきといったリスクを排除できます。さらに、スウェージングでは素材が加工硬化を起こすため、細径部であっても高い強度が得られます。
チタンはもともと加工硬化しやすい素材であり、適切な条件管理のもとでスウェージングを行うことで、0.3Φという極めて細い径でありながら十分な機械的強度を確保できます。こうしたチタン精密加工には、ダイスの設計や送り速度、打撃力の最適化など高度なノウハウが求められます。
細径チタン加工品の用途と今後の展望
スウェージングによって成形された細径チタン加工品は、その軽量性・高強度・優れた耐食性・生体適合性といったチタン素材の特性を活かし、さまざまな分野で採用される可能性があります。一般的には医療機器分野でのガイドワイヤーやカテーテル用部品、航空宇宙分野での軽量構造部材、さらには精密機器や電子部品の端子・ピン類など、細径かつ高い信頼性が求められる用途で活用されるケースが多いとされています。
太部と細部を一体成型できるスウェージング技術は、部品点数の削減や組立工程の簡略化にも貢献するため、製造コストの最適化という観点からも注目されています。チタン加工の技術革新が進む中、こうした精密スウェージング技術の重要性はますます高まっていくと考えられます。