電着塗装膜へのマスキング染色加工(MSI加工)とは
MSI加工とは、電着塗装によって形成された塗膜に対し、特殊な染料を熟練された技術で、1つ1つ手作業にて加工することにより、部分的に異なる色彩や模様を付与する表面処理技術です。
電着塗装は被塗物を塗料液中に浸漬し電気的に均一な塗膜を形成する手法で、複雑な形状にも均一な膜厚を実現できる点が大きな特長です。
この塗膜に対して特殊な染料を精密に施し、必要な部分のみを染色することで、多色展開やデザイン性の高い仕上がりを可能にします。チタン材やチタン合金材はもちろん、コンビネーション枠のように異種素材が組み合わされた製品にも対応できる点が、MSI加工の大きな強みです。

チタン加工におけるMSI加工の技術的ポイント
チタン素材に対して電着塗装およびMSI加工を施す際には、素材固有の特性への配慮が求められます。チタンは表面に強固な酸化皮膜を自然形成するため、塗膜との密着性を確保するには適切な前処理が不可欠です。一般的には脱脂処理やエッチング、化成処理などの工程を経て、金属皮膜を加工し、その上に電着塗装により塗膜を加工します。
また、MSI工程では、カラーの鮮明さが製品の仕上がり品質を直接左右するため、高い位置精度と再現性が要求され、熟練された手作業で商品1枚1枚加工します。
用途と採用される分野
MSI加工によるチタン素材の装飾的表面処理は、眼鏡フレームやジュエリー、時計ケースといった身飾り品の分野で広く活用されています。これらの製品では軽量性や金属アレルギーを起こしにくいチタンの生体適合性が求められると同時に、デザインの多様性も重要な差別化要素となります。
機能面では耐摩耗性や耐候性の向上も期待でき、日常使用における塗膜の耐久性確保に寄与します。
チタン加工技術と高度な表面処理を組み合わせることにより、機能性と装飾性を兼ね備えた高付加価値製品の提供につながります。