チタンは航空宇宙・医療・スポーツ用品など幅広い分野で採用される高機能素材です。軽量でありながら高い強度と優れた耐食性を兼ね備えたチタン素材は、まさに「理想の金属」と呼ばれるにふさわしい特性を持っています。
しかし一方で、チタン加工は非常に難易度が高いことでも知られています。硬く、熱伝導率が低く、工具への負担が大きいチタンは「難削材」に分類され、加工現場では高い技術力と豊富な経験が求められます。とりわけ、長尺のテーパー形状をチタン素材で実現するには、寸法精度と表面品質を両立させる特殊な加工技術が不可欠です。
今回ご紹介するのは、スウェージング加工によってチタン丸棒をφ6.0からφ1.5まで滑らかに絞り上げた「Longテーパー加工」の事例です。
スウェージング加工とは、回転するダイス(金型)で素材を外側から連続的に打撃・圧縮し、径を縮小させていく塑性加工法です。切削加工のように材料を削り取るのではなく、金属の組織を流動させながら成形するため、材料のロスが少なく、加工後の表面も滑らかに仕上がるという利点があります。
さらに、塑性加工によって金属組織が緻密になり、素材本来の強度を維持したまま——場合によってはそれ以上に——機械的特性を高められる点も大きな魅力です。本事例では、チタン丸棒のφ6.0をφ1.5まで、最長400mmにわたってテーパー状に絞り加工しています。
一般的な切削によるチタン精密加工では、長尺テーパーの加工中にワークのたわみや振動が発生しやすく、寸法精度の確保が困難になりがちです。スウェージング加工であれば、素材を回転させながら段階的に縮径していくため、長尺であっても安定した加工が可能です。
チタン合金はもちろん、ニッケルチタン(NT)合金のような超弾性素材にも対応できる点は、当加工技術の大きな強みといえます。
このようなチタンのLongテーパー加工品は、医療用カテーテルのガイドワイヤーやシャフト部品、歯科用器具、さらには精密機器の先端プローブなど、先端に向かって細くなる形状が求められる用途で幅広く活躍しています。
チタン素材が持つ生体適合性や耐食性は医療分野との相性が非常に良く、軽量かつ高強度というチタンの特性は、スポーツ用品や航空宇宙部品などの分野でも重宝されています。チタン加工にお困りの方、特に長尺テーパーや難削材のチタン精密加工をご検討中の方は、ぜひ一度ご相談ください。
素材選定から加工方法のご提案まで、チタン加工に精通した技術スタッフが最適なソリューションをご提供いたします。
